製品別収益性分析 〜人材不足時代の高付加価値製品事業への集中〜 その①

前回のコラムでも少し触れましたが、昨今の人材不足は深刻です。特に電気、機械、ソフトウェアなどを問わずエンジニアの確保が難しく、当分の間この状況は続くものと思われ、人事担当者や経営者は頭の痛い限りです。

私の身近でもいろいろな問題が起きています。外資系企業ということもあり、(新卒も採用していますが)どちらかというと中途採用での即戦力を求める声が多く、かつ採用条件としてさまざまな要求が上がってきます。まず、当然ながらその分野での一定の経験があること、そして地方の工場での勤務(あるいは頻繁に出張すること)が可能であり、ある程度英語を話せる人材、と。いくらサラリーレベルにある程度の色を付けたとしても、そうなるとそもそもの転職エージェントからの紹介の数も限定され、また、採用に至るまでに相当な時間がかかってしまいます。かと言って社内の他の事業部からの内部応募で賄おうとしても、その間に出ていく数を埋め合わせるのが精一杯という状況です。

やはり日本人にとってハードルが高いのは『英語』です。売り手市場の今、これまで日本の会社で働いていたエンジニアが、あえて英語を日常的に使う職場に転職するでしょうか? いやいや、日本の企業で周りは日本人ばかり、仕事も会話も日本語でコミュニケーションできる方が自分の能力を目一杯発揮出来るでしょうし、英語が理解できないことでストレスや余計な劣等感を感じる事もないでしょう。私ならわざわざそんな不安要素のある仕事は選びません。

この様な状況では、採用する側も活動が停滞しないよう、例えば応募者に『英語の能力に関しては高くを望まない』などと謳ってみたり、採用条件を多少なりとも妥協することも必要になってきます。

しかしいざ入社してしまえば社内の環境が英語が出来ることが前提であることに変わりは無く、つまり主となるコミュニケーションは英語であり、英語が出来なければ仕事も進まず、役職にも付けないとなると、結局大きなストレスを抱えながら本来の仕事をやりこなさなければならず、それでも若ければキャッチアップする時間もありますが、ある程度の年齢からではそれも難しく、仮に入社しても結局また別の会社へ転職してしまうという悪循環に陥ってしまいます。

この様にしばらくの間は十分な人材確保が難しいという状況で、経営者にどんな打開策があるのでしょうか。もちろん引き継ぎ積極的な採用活動は行うにしても、足元の事業計画の達成に向けて会社の発展策を『限られた人材(リソース)で』講じていかなければなりません。

つまり今、事業計画達成や事業拡大に向けての構図を『リソースの増加無しに』描く必要が出てきてしまったのです。

では、経営者は具体的にどのような戦略を立てていけば良いのでしょう? もちろんアウトソースもその手段のひとつとして考える必要がありますが、なんでもかんでもアウトソースしてしまえば製造会社としてのコンピテンスを失うことになってしまいますから、それにも限界があります。いかに限られたリソースで、コアのコンピテンスを失うことなく、事業を拡大させるか。

それが事業の選択と集中です。

とかく『選択と集中』というと、危機に陥った会社がそのリストラ策として使うことが多い印象ですが、例え潤沢な収益を上げている会社であってもこの分析は必要で、これにより継続的に事業収益を拡大させることもFP&A部門の存在意義のひとつでもあります。

では何に対しての選択と集中を分析すれば良いのでしょう? 数ある分析手法の中から、ここでは上記のリソース問題に絞って考えてみたいと思います。

続きは次のコラムで。