製品別収益性分析 〜人材不足時代の高付加価値製品事業への集中〜 その②

前回の“その①“に続き、事業の選択と集中の話です。

ひとくちに事業の “選択“ と言っても、その手法は業種によって、事業の括り方によって、そして最終的に何をターゲットにするかによっても異なります。今回は前回のコラムで問題提起したように、人材不足時代にいかにリソースを有効活用するか、特に製造会社におけるエンジニアリング部門のリソースの効率的な活用方法について注目し、どのようにしたら『FP&Aの視点』で選択と集中のディシジョンメイクに貢献出来るかをコントローラーの立場から書いてみたいと思います。

さて、事業や製品の収益性分析を行うにあたり、予め『何をクライテリアとするか、つまり何をもってその事業を選択のテーブルの上に乗せる判断をするのか』についてを決めておく必要があります。粗利益?営業利益?売上金額?成長性?パテントの有効性?大口顧客との契約? などなど、あげればキリがありませんが、できれば2つか3つに重要となる判断基準を絞って設定しましょう。

会社や事業が何にフォーカスしているか? 売上なのか、利益なのか、キャッシュフローなのか、或いはそれ以外の目標があればそれを。最終的にそれらを達成するために必要となるクライテリアを選択しましょう。

また、判断要素には政治的な理由を絡めたり、アンタッチャブルな事業を対象から外しがちですが、出来るだけそのような事が無いよう、予め最終テーブルを囲むメンバーと事前に合意をしておきましょう。

どこの会社にもひとつやふたつはありますよね。うすうす不採算と分かりながら、アンタッチャブルな事業部門。創業以来の事業?巨額の開発費や投資をつぎ込んだから今さらやめられない? 何やっているかよくわからない事業? 事業部長の声がデカイ? 社長や古参社員の鳴り物入り? などなど。

結果が出る前なら合意は取りやすいですから、最後にテーブルに乗せた時に文句を言われないようにしておきましょう。(笑)

はじめに断っておきますが、FP&Aのタスクは、その分析結果をもって対象となる事業や製品を “ディスカッションのテーブルの上に乗せるまで“ です。その後、どう料理するかはあくまで経営判断です。捨てるのも、料理して活用するのも、そのまま生かしておくのも経営判断です。ですので、意図的に特定の事業を特定の方向へ導くようなプレゼン資料を作る事は避けましょう。

さて、判断基準の話に戻りますが、上記に挙げたクライテリアの他に今回あえて提案したいのが、『時間当たりの付加価値』(VA/H)と言う考え方です。これを加える事で、その事業に対する見方が変わってくる場合があります。

仮に収益性が高い事業であっても、その事業を行うにあたり多くのエンジニアのリソースを必要とする場合、限られたリソースの多くをそこへアサインしてしまえば、他の事業のリソースが奪われるだけでなく、その事業そのものの成長まで停滞させてしまいかねません。つまりリソースがボトルネックとなり、いくら頑張っても売上が伸びないばかりか、会社全体の成長に負の影響を与えてしまう可能性もあり得ます。

では次回以降のコラムで、収益性から見た適切なリソースのアロケーション方法やVA/Hの算出方法について具体的な例を挙げて説明をしたいと思います。