製品別収益性分析 〜人材不足時代の高付加価値製品事業への集中〜 その⑤(完)

その④では事業別のP&L作成のところまで話しました。今回はエンジニアの工数の把握と、それによるVA/hの算出の話です。

いつも話が脱線して長くなり、“結論は次回へ持越し“ のパターンになりがちですが、今回はこれで完結させたいと思います(笑)

さて、『工数の把握』とは具体的にはどのように行うのでしょうか? 『勤怠管理しているから、そこから時間を引っ張ってくれば?』それでもおおよその数字は把握できるでしょうが、以下の点において不十分な場合があります。

1. “勤怠にレコードされた時間 = 工数“ とは限らない。

…例えば作業やプロジェクトに直接的に関係の無いミーティングやトレーニング、目標設定などの人事関連の時間、更に移動時間なども場合によっては通常工数にはカウントしません。というのも工数見積もり時には上記の工数を考慮することはありませんので、これらを工数としてカウントしてしまうと、賃率が低くなり全体のコストをカバーすることができなくなるからです。

2. プロジェクトベースの原価計算を行う事業の場合は、事業別の総工数の把握が出来ない可能性がある。

…会社が複数の事業を行なっている場合、どのエンジニアがどれだけその事業に従事しているかを判断するには、日頃の細かなリソースの管理が不可欠です。プロジェクト型のビジネスの場合はERPなどのデータベースからプロジェクト別の工数を容易に取り出すことが出来ます。ただし、1人で複数の事業に関わっているような場合は、データベースから仕分けした各事業ごとの工数を別途集計する必要が出てきます。

また、量産型の製造業では個人別にERPにデータを管理しないことがあるので、その場合は一定期間の勤怠データからおおよその工数を把握することで代用します。なお、全ての事業が量産型の場合は上記1.の点は気にする必要はありません。

さて、これで事業別のP&Lと事業別の工数のデータが取れましたので、いよいよ最後の計算です。

先ず、事業別の付加価値(VA)を以下の算式により導き出します。

VA = 売上金額 ー 原材料費

例えばその事業の売上を1億円、原材料費を2千万とすると、VAは8千万円となります。そして、その売上に要するエンジニアの総工数が1万時間必要であれば、VA/hは8,000円と導き出されます。

これを最初に仕分けした各事業ごとに算出し、それぞれを比較してみてください。数字が大きければ大きい事業ほど『少ないエンジニアで大きい価値を生み出している事業』となります。

“いかに限られたエンジニアで大きな収入を得るか“ 昨今の人材不足の折に事業再編の参考値として活用してみては如何でしょう?