【M&A】その時FP&Aは何をすれば良いのか?

その3「自己評価は “低く“ せよ」

この秋放送開始の『下町ロケット』でもM&Aの話が出ていますね。佃製作所がGear ghost 社を買収するとかしないとか。買収される側は心情的にはあまり良く思わないという面もよく表れています。『会社の危機より自社のプライド』ということでしょうか。

『M&A』だけでなく『デューディリジェンス』や『お見合い結婚』などという言葉も出てきました。そして前のコラムでも書いたように、M&Aの話はここでも『突然』やってきました。

また、ドラマでは経営者の取り扱いのミスで情報が社員にリークしてしまいましたが、M&Aの社内へのアナウンスは『適切な時期』に『正確な情報』を『一斉に』伝えないとトラブルの元となります。

アナウンス前に噂が流れればあらぬ詮索がされ、話に尾ひれはひれが付いて、やれ “この会社はもうダメだ“ だの、“ドコドコ会社の傘下になりそうだ“ とか、“バラバラに解体されて売られる“ などと、とかくネガティブな情報が飛び交うことになりかねません。

この類いの噂は会社にとっても社員にとってもネガティブインパクトさえあれ、結局誰も何も得をしません。だからもし、FP&Aとしてあるいはコントローラーとして上層部から内密にM&A関連の情報をもらったとしたら、情報がリークしないように最新の注意を払いましょう。

さて本題に戻ってDDの話の続きです。DDのプロセスは様々ですが、通常大きく分けて2つのステップに分けられます。ひとつ目は『自社の目での評価』、もう一つは『他者の目での評価』です。

他者とは買収側のことで、他者の目による評価とは、買う側の目で売られる会社の『品定め』行なうことを意味します。グローバルカンパニーの場合は、多くは大手の監査法人系のコンサルティングファームの専門部隊がこのDDに絡んできます。世界各国に事務所がある大手M&Aコンサル会社であればターゲット会社の拠点が世界中にがあったとしても、現地の事務所を通じて調査が可能になるからです。

昨今は大容量のデータのやり取りもインターネット経由で容易にできるようになりましたし、スカイプなどを通じてコミュニケーションも出来ますから必ずしも現地事務所が必要とは限りませんが、やはりローカルGAAPや税制のリスクを評価するには、より現地での現地事務所によるDDが、正確性の高いデータを集める為には必要不可欠です。

一方、『自社の目』とは自己評価のことです。自社を売り出すために自社の評価を行うことで、自社の適正価格を査定します。自己評価も同様にグローバルのコンサルティングファームが入ることが多いです。通常はまず自己評価が先で、自己評価の査定資料を元にポテンシャルバイヤーを見つけ出し、ポテンシャルバイヤーが『他者の目』で改めてその査定資料を精査します。この両方のプロセスが広い意味でのデューディリジェンスと言えるでしょう。

さて、売られる側は自己評価を高くして高い値段をつければ沢山のキャッシュが入ってハッピーですし、買う側は出来るだけ安く買い叩きたい。至極当たり前の経済原理です。

しかし適正価格はどちらも第三者の目を経て公正に評価されているにもかかわらず、結果は異なるんですよね。これは多くは将来の計画をどう見るかによって変わってくるからです。売られる側はアグレッシブに、買う側はリスクを考慮してコンサバティブに。将来計画が異なれば将来キャッシュフローも変わりますから当然会社の価値も変わってきます。

評価額は単純に言えば今すぐ会社をクローズすればいくらのキャッシュが残るかという価値(言ってみれば単純にバランスシートを再評価して残る純資産)に上述の将来キャッシュフローから得られる価値(但し現在価値に引き直したもの)を足したもので算出されます。

さて、FP&Aのあなたはどちら寄りで評価しますか?もちろん自己評価を高くして自社を高く買ってもらいたいですよね?心情的に自分の働いている会社の価値を低く評価はしたくないものです。

でもそれではダメなんです。できるだけコンサバティブに、評価額が『低くなるように』導きましょう。何故か?

それは次のコラムで。