fp&aと管理会計と財務会計 〜 百万円は重要? 〜

人から職業を聞かれてどう答えてよいかに迷うことしばしば。ついつい『経理です』とか 『事務職』ですと言って適当に流してしまいます。というのも、例えば 『FP&Aやってます』『企業の管理会計担当です』『コントローラーです』などと言ってもほぼ間違いなく相手の頭の上に ??? を乗せる事になり、かといって、『外資系の会社で管理職をしてます』などと言って、《こいつきっと、悪どいことしてるな》と勘ぐられても嫌だからです(笑)

何を言いたいかと言うと、管理会計の意義が世間一般であまり認められていないが為に職業の認知度も低いのでは無いかと勝手に想像してしまうのです。

このコラムを通し、管理会計やFP&Aの重要性を(僭越ながら)説いていくことで、少しでもFP&A或いはコントローラーという職種の認知度を高める事が出来ればと、これも勝手に考えています。

さて冒頭の話に戻ると、例えば 『営業職です』とか『ソフトウェアのエンジニアです』などと言うことが出来れば『どんなものを営業しているんですか?』とか『どんなソフトの開発ですか?』と話もどんどん進んで楽しいでしょうが、『経理です』と言っても、たいがいは『あぁそうですか』とか、良くても『じゃぁ計算が早いんでしょうね』とか『数字に細かいんでしょうね』などと返ってくるのが関の山で、これまた苦笑いです。

まぁ、財務会計をやっているぶんには、計算の速さや数字の細かさは重要ですが、管理会計の世界では細かさはあまり重要ではなく、どちらかと言えば ”森” を見る感覚で仕事を捉えるべきと考えています。

つまり、数字一つ一つの正確性よりも、日ごろの仕事の流れやレポーティング・プレゼンの内容などを終始総合的に捉えて、前後を見ながら進めていくことが数値の正確性よりも重要になってきます。

財務会計では財務諸表に一円単位のレポーティングが当然のように求められます。キャッシュを扱っている以上は当たり前と言えばそれまでですが、一つには暗に帳簿の正確性を証明する意味合いもあるのかと思います。キャッシュが数万円合わないと大変ですからね。一方、多くの日本企業での管理会計における金額の管理単位は百万円です。

では何故管理会計は百万円単位でも良いのでしょうか?

それは、財務会計が主として外部に対する会社の財産や業績の説明に使われるのに対し、管理会計は主として会社内部の “ディシジョンメイク” に使われるからです。ディシジョンメイクに一円単位の数字は多くの場合必要ありません。

例えばワーキングキャピタルのレポート。そもそもワーキングキャピタル(主に在庫や売掛金・買掛金)の管理は主としてキャッシュフローの改善目的で行われます。在庫や売掛金が多いと余計な資金が必要となり、それに伴う金利負担も増加するだけでなく、自己資本比率の減少にも繋がってしまいます。

外資系企業は、通常その資本の多くを親会社の出資金で賄っているため、ワーキングキャピタルの悪化による金利負担が直接的にEBITに現れる事がありません。だから企業によっては、管理会計での損益の指標として通常使われるEBIT(利息税引前当期利益)やEBITDA(利息、償却費、税引前当期利益)ではなく、独自にワーキングキャピタルに対する利息(或いは目標配当率)相当分を加減算した独自の損益指標を設けている企業もあるくらいです。

つまり、ワーキングキャピタルの負担が高い場合は損益も悪くなるような仕組みを作ってしまうのです。何ともいやらしい仕組みですが、金利負担軽減や自己資本比率改善は連結企業にとっては大きな課題ですので、連結子会社の努力目標を明確にするためには、それも良い方法かと思います。

閑話休題、ワーキングキャピタルのレポートやプレゼンにおいて、例えば在庫金額を一円単位で表しても、全くディシジョンメイクの参考にはなりません。一円単位の正確性にこだわるよりも、百万円単位で過年度との比較、月別の推移の数値データや、過去に大きな変動があった場合はその要因、今後の推移予測、改善目標の数字と期日、その為の施策などを限られたスペースでレポートした方が、マネジメントにとっては有益です。

詳しくは後々のコラムで述べるとして、プレゼンテーションにおけるポイントの一つは、言いたい事を完結明快に表現する事であって、決してFP&A担当者が如何に頑張って分析をしたかを見せる場ではありません。マネジメントからすれば、パワーポイントの資料を何十枚も見せられたり、1ページに細かい数字の羅列をに大量に詰め込まれたスライドがプロジェクターを通して、目に入ってきたらそれだけでウンザリで、本題に集中出来なくなるくらいならまだしも、最悪はつまらない数字のアラ探しに話が発展してしまう可能性もあります。そうなったらあなたのFP&Aの生命はそこで終わりです(冗談)

そう、むしろ金額そのものではなく、原因や今後どのような対策を取れば良いかという点にフォーカスした方が良いのです。だから百万円以下の数字が見えなくたって、あまり問題ではないんです。

このように、(誤解を恐れずに言えば) 管理会計では、”数値は大雑把” でいいんです。

だから(職業柄)『数字に細かいんでしょうね』と言われてもあまりピンと来ないんです。O型ですし(笑)

つづく

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