家庭のFP&A 〜 家計簿にも複式簿記を その1 〜

今回は少しFP&Aとは離れて柔らかい話『家計簿にも複式簿記を』について、(全くもって)勝手な持論を書き綴りたいと思います。

最近ではフィンテックやスマホアプリの進歩もあり、レシートをスキャンするだけで、あるいはクレジットカードの請求書を自動的に読みとることで家計簿が簡単に作れたり、そればかりでなく、それを元に支出項目別に傾向を分析し、グラフ化したり、連携している銀行の預金を元に将来のプランなんかも提案してくれるなどと、FP&A顔負けの機能を持つアプリなんかも登場し、そのうち会社のFP&A業務もAI化され ”将来消えてしまう仕事” にリストアップされてしまうのではないかと心配になる今日この頃です。(まぁ、このコラムでも書いている通り自動化とはほど遠い力仕事なので、しばらくは無いとは思いますが 笑)

そんな家計簿ですが、原始的なものでもフィンテックを活用した最新のものでも共通しているのは、現金をベースとした『単式簿記』であるという点です。

単式簿記には貸借対照表も損益計算書もありません。あるのは現金を中心にした出納帳のみで、結果として現金がいくら残ったかを記録するというものです。

家計簿はその単式簿記を採用した現金主義方式により、その増減要因をカテゴリー分けし、あるいは過去の推移と比較し、多かったか少なかったかの分析を行い、あるいはそれを次月以降の支出の参考にすることに使われているツールです。一般的には。

例えば電気代を毎月比較して『夏場に多かったのは、きっとエアコンをたくさん使ったせいだわ』とか、『12月に食材費が多かったのはおせち料理の用意のせいだわ』とか『ガソリン代が高かったのは最近の原油の値上がりのせいだわ』などと予算オーバーした理由を考えて ”自分自身を納得させる” とか、夏休みの家族旅行が響いて支出が多かった翌月は、被服費や外食費を抑えるようにコントロールし、これでなんとなく”帳尻があったような気分にさせて貰える” というのも、もっと言えば、 『今月はボーナスが入ったから、贅沢にホテルのレストランで外食でもしましょうかしら』と ”プチハッピーな気分にさせてくれる” のも、家計簿の大事な役割でもあります。

それはそれで、ある程度の効果はあるんでしょう。しかし、いくらフィンテックが進化したからとはいえ、家計簿をつけるのも分析するのも、それなりの時間をかけているし、やっぱり面倒なものです。そうとう暇な方や家計簿を趣味でつけている人を除いては。だからその費用対効果に疑問を感じてしまうのです。つまり、せっかく時間を掛けてつけているんだから、もっと効率的で役に立つ分析をしましょうという提案をしたいんです。

それが、”家計簿の複式簿記化” です。

複式簿記を採用すると、何が見えてくるか、それは ”期間損益” です。家計簿の場合は、月ごとと年ごとの期間損益の把握が可能になります。給料が毎月入ってくるので毎月、それと毎月だけでは季節変動要因が考慮しにくいので、年ごとの分析も加えて行うというのがリーズナブルでしょう。また、現在の資産や負債の状況も見えます。さらに、もう一つ可能にしてくれるのが、単式簿記の帳簿ベースではなかなか難しい ”将来計画” の作成です。

『そりゃ、あんたは経理が専門だから複式簿記とか言ってるけど、簿記を知らない人にとっては、そんなのわからないよ』

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、心配には及ばず、そんなに難しいことではありません。少し現金から離れて、”損得についての思考”に切り替えればいいんです。いや、現金主義を疎かにしろということではありませんよ。現金残高はもちろんしっかりと把握します。

当然実現にはアプリの力を借りることになるんでしょうが、昨今のフィンテックの技術に比べれば単純なものです。(具体的な仕組みは後述します)

さて、では期間損益が見えると何がいいんでしょうか?

『現金主義なら収支がハッキリとわかるし、それで毎月の損益も見えるでしょ。何より現金がベースだから安心だよ』

果たしてそうでしょうか? 毎月の突飛な支出や収入に一喜一憂したことはありませんか?

例えば、車が古くなって買い替えなければならなくなったり、住宅の固定資産税の請求時期を忘れていたり、逆に忘れていた保険の満期払戻金があったり。

このようなことがあると、当然現金が増減します。現金主義ですから現金が減れば翌月以降の支出を制限するでしょうし、現金が潤えばそれを活用しようと考えると思います。でもこの考え方は、複式簿記的には違和感があるんです。

『あ〜先月は車を買い替えたから大赤字だわ〜、しばらくパパのお小遣い減らしてもらおうかしら』お昼のワイドショーか、テレビショッピングの寸劇でよく見かけるシーンです。パパは当然アンハッピーです。しかし、複式簿記を採用していればこんなことにはなりません。

ではこの寸劇家族を例に、少し年月を遡って最初に車を買った結婚当初の6年前にタイムスリップして、6年間の家計簿の毎年の結果をその感想と共に単式簿記と複式簿記それぞれで比べて見てみたいと思います。

それは、次のコラムで。

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